小説 すずめの戸締まり(新海誠)

観たいのですが、いま映画館には行けそうにないので、小説を買ってみました。

でも、これはやっぱり、映画で観るべきだった…!

お話はおもしろかったです。

世界観にも展開にも、わくわくしながらページをめくったし。

東日本大震災の記憶がくっきりと刻み直されたし、自身の戸締まりを終えて未来へ生きる姿は、爽やかな読後感をくれたし。

その中で、消えない記憶に留まり続けるダイジンへの、哀しさや切なさも、しみじみと味わいました。

でも、やっぱり、違う。

同じ新海誠さんの「秒速5センチメートル」を観たときの、「すごくよかった」のと「違う」んです。

「秒速5センチメートル」は、観ていてすごく惹き込まれて、ガツンと頭を殴られたような衝撃で感動したのですが。

あの映画を、この文章で読んでも、そこまで心揺さぶられない気がするんです。

私の気持ちが持っていかれたのは、ストーリーそのものというより、言葉のない映像から放たれる、鮮烈な静謐さ。

きっと、間合いや演出の素晴らしさなのでしょう。

私は新海誠さんのような才能は持ち合わせていないので、小説から彼の間合いを的確に描くことはできません。

だから、芯から作品を味わうためには、やっぱり、映画で観るべきだった。

そう考えると、絵本に映画にミュージカルに歌舞伎、それぞれの形に最適化されていて、どれを見ても感動する「えんとつ町のプペル」と、

それを作り上げる西野亮廣さんは、本当にすごいのだなあ、と思います。

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