登場人物が少しずつリンクしていく物語は、好きです。
「あ、これがさっきのアレだな」と、繋がりを見つけては、ニヤニヤしながら読みます。
この「阪急電車」も、そんな小説。
有川浩さんの恋愛物は、いつも、素敵な恋の気分をじっくり味わわせてもらっています。
恋には始まりと終わりとがあって、だけどそれは人生の一部を切り取った場面でしかなくて、これからも暮らしが続いていく。
その中で、ささやかに繋がっては離れていく人間模様が、いいんですよね。
幼い頃、友達と川に流しては追いかけた、葉っぱの船を思い出します。
すべての行方を知ることはできないけれど、今ここで確かに共に流れていた、私とあの子の笹舟のような、彼らと彼女たちのひととき。
魅力的なキャラクターばかりでしたが、私は翔子と時江が好みでした。
彼女たちのように、かっこよく歳を重ねていきたいな。
長編ではありますが、切り取られたひとつひとつの物語を、短編のようにも楽しめる1冊でした。