成功ではなく、幸福について語ろう(岸見一郎)

そういえば、久しぶりの読書です!

帯に「アドラー心理学・大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者」とあったので、興味が湧きました。

アドラー心理学、読んだときは「なるほど!」「うんうん、わかる!」とうなずいていたのですが、日常的に落とし込むレベルには、まだまだ。

こちらの本は、章ごとに、著者の講演などをまとめたものと、読者からの相談に答えたものとの2つで構成されています。

講演内容でアドラー心理学の基盤が理解できて、相談で具体的に活かす方法を知れる。

現実生活の悩みに、こんなふうに考えていけばいいんだな、というのがよくわかる、2段構えの1冊です。

幸福と成功の違い

これは、私が「今ある幸せ」に目を向けられるようになってから感じたこと、そのものだなあと思いました。

【幸福とは】

質的なもの。存在に関わるもの。

各自においてオリジナルなものであり、何かを達成しなくてもよい。

【成功とは】

量的なもの。過程に関わるもの。

一般的なものであり、何かを達成しなければならない。

暮らしに不満が出るときは、たいてい幸福と成功を混同しているからなので、心に留めておこう。

実生活に落とし込む

相談例の中には、子育ての話も多くありました。

「なるほど、こういうふうに落とし込むのね」と深くうなずいたのが、次の2つです。

1つめは、ゲームばかりして受験勉強しない息子にイライラするお母さんに。

これ、私が長女に対して直面している状況とよく似ています。

今のような生活を続けることで困るとすれば息子さんが困るのであり、あなたではないはずです。

そんなことはない、イライラし、頭を抱えているといわれるでしょうが、そのイライラはあなたが自分で何とかしないといけないのであり、「私をイライラさせないで」と息子さんに要求することはできないのです。

(中略)

息子さんのことでイライラしないために、息子さんの生活を何でも把握しようとするのをやめるようお勧めします。

そのためには、自分の人生を充実させましょう。

息子さんの人生を生きることはないのです。

第2章 自分の課題・他人の課題

また、同じ章の中には、こんな一節も。

例えば、朝の九時に子どもがのこのこ起きてくる。腹が立ちます。

何時だと思っているんだ、今から学校に行っても間に合わないじゃないかといいたくなるでしょう。

でも、そうはいわずにこういってください。

「生きててよかった」と。

そういうことを本気で思えるようになると、子どもとの関係のあり方はがらっと変わっていきます。

本当は「生きててよかった」ではなく「生きていてくれてありがとう」なのです。

第2章 自分の課題・他人の課題

読んだとき、満月理論を思い出しました。

長女の不調がまだ激しかった頃には、その通り、生きていてくれるだけでありがたかったのに。

回復期に入ってからは、感謝の気持ちを忘れていました。

長女への言葉かけや対応は、そのときの状態で変化するにしても、私の気持ちはブレてはいけない部分なんですよね。

2つめは、長男に対して考えさせられたことです。

とにもかくにも、家に子どもがいるのであれば、その子どもと仲良く生きることだけを考えていけばいいということです。

学校に行くか行かないかは子どもが決めることで、親が決めることではありません。

(中略)

幸福とは、過程ではなく存在だからです。

今日という日を子どもと一緒に生きられるのであれば、それがもう既に幸福だと思えるでしょう。

第4章 今日という日を今日のためだけに生きる

長男は、言葉でのコミュニケーションがうまくなく、私とは好みも違うので、過ごしにくさを感じてしまうことがあります。

娘は学校に行けなくても、図書館で本を読んだり、子育て支援センターで小さい子と遊んだり、親子で語り合ったりしていたので。

行き先や気分転換の方法が多く、私も楽だったのだけれど、長男はなかなか難しい…。

だからつい「学校に行ってくれー!」と思ってしまいますが、お互いが楽しく、仲良く過ごせる方法を、もっと考えて試してみます。

本書内では、よく三木清さんの言葉が引用されていました。

幸福は単に内面的なものではなく「表現的なもの」である。

鳥の歌うが如くおのずから外に現われて多の人を幸福にするものが真の幸福である。

機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現われる。

三木清「人生論ノート」

で、どこに表現されるのかといえば、対人関係の中だと著者は言います。

対人関係に入っていけば、必ず摩擦は起こるし煩わしい。

ただ、絶望したとき、私たちを救ってくれるのは他人だ。

希望は他人から与えられるものなのだ、と。

――何だか、アンパンマンみたいです。

人間関係に悩むあまり、断ち切ろうとしてしまう人にも、ぜひ伝えたい。

盛りだくさんでおもしろかったので、今度は「嫌われる勇気」や「人生論ノート」も読んでみたくなりました!

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