私より先に、娘が読んで、
「お母さん! これよかったわー!」
と言ってきた1冊。
「かがみの孤城」と同じ感じの好き、だそうです。
読んでみて、納得でした。
中学生の葛藤と、成長と、希望と。
最後に紛れ込ませてある、彼らの未来と。
確かに、物語に似た香りがする。
気に入るのもうなずけます。
私も、もちろんおもしろかったです!
やっぱり、登場人物の心情が迫ってくるところが、たまらない。
マチの、言いたくても言えない感じとか、本への思いとか、どうしてこんなにわかるんだろう、と思うほど、伝わってきます。
その理由が、少しだけ、わかりました。
「学校は誰のものなのか」
最後の「世界で一番美しい宝石」の中に、書かれている一節です。
「学校ってよく生徒みんなのものって言われるだろ? だけど、それって本当にそうなのかなって、俺、昔からよく考えるんだ。クラスの中の目立つヤツと目立たないヤツ、両方が同じ学校に通って同じ校舎を使ってるけど、そこで見えてる景色や、考えてる内容はまったく違うんだろうなって」
(中略)
スポーツで健全に汗をかいたり、女の子とつきあったり、友達をたくさん作ったり。
学校はみんなのもの、なんていうのは大嘘だ。学校は、俺たちじゃない、そういうことが何のてらいもなくできる“彼ら”のものだってことを、俺は知ってる。
クラスの中心にいるような目立つタイプの生徒の青春が、教師や大人たちに推奨され、世間一般にもいいって言われる。
これです。この感じを、私はよく知っている。
痛いほど強く伝わってくるのは、いつも、学校では決して主役サイドにはいない子たちの感情で。
それは、私がそうだったからに他なりません。
だけど、辻村さんは、そんな子どもたちの気持ちを、細やかにすくい上げ、描いてくれている。
だからきっと、私も、似たような立ち位置の娘も、好きな物語なのだろうと思いました。