宙を歩く

建物の裏手に、大きな用水路が通っている場所があります。

上にグレーチングが敷きつめられている、その道幅は150センチ以上。

銀行へ行くのに便利なので、たまに徒歩で抜けていくのですが、足もとがいつもふわふわします。

心もとない気持ちには違いないのだけれど、落っこちそうな不安ではありません。

足裏が踏みしめる感触の、でこぼこした空洞が、心をざわつかせるのでしょうか。

「この下には空間がある」という視覚もあいまって、宙を歩いている気分になります。

空に浮いているわくわくではなく、ダンジョンに挑むようなどきどきする楽しさを、ひそかに味わっている私です。

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