タイトルを見て、買うことを即決しました。
【言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼(水野太貴・堀元見)】

言語オタクが、一般人を引きずり込んだ言語沼とは。
読むのと書くのが大好き人間としては、気になりますよね。
”かくいうあなたも、本書を手に取り、ページを開いた時点で
言語沼の浅瀬に足を踏み入れかけている。
2人と一緒に、ぜひ奥底まで沈んでいこう。”
って言われちゃってます。
ではさっそく、読んでいきましょう。
物心ついた頃からの、筋金入りの言語オタク・水野さんと、
犠牲者第一号の言語学素人・堀元さんとの対談形式です。
テンポのよい会話が文章になっていて、読みやすい一冊。
「えーっと」と「あのー」の違い、知らなかった!
タモリさんが生物になったり、無生物になったりする(笑)。
オノマトペって、確かに言葉がわからない子どもも理解している…!
「を」に秘められた世界が、こんなにも深淵だったとは…。
ひとつ読んでは、
「ほうほう、なるほど!」と一緒におもしろがってしまいました。
しっかり沼に引きずり込まれています。
”理屈はわからないのに、なぜか正解は知ってる”
言語は、身近な証明問題の宝庫であり、
フェルマーの最終定理に挑むドラマを、誰でも追体験できる。
水野さんは、そう語るのです。
そんなふうに言われたら、数学は大の苦手だったのに、
言語の謎がおもしろかったものだから、ついうっかり、
「数学もおもしろそうだな」って、思ってしまったではありませんか。
言語を超えた、学問沼に引き込まれかねない…!
普段、本当に何気なく使っている言葉に、こんなにも深い世界が広がっている。
というのを、ゆるっと楽しく味わえる本でした。
ぜひ全文を通して読んで、そのおもしろ味と深味を、存分に噛みしめていただきたいのですが。
最後に、個人的にツボだった、帯にはない名(迷)言の試食を出しておきます。
「言語は生き物です」
「俳人はこの内部構造をハックしてるんですよ」
「雰囲気に流されて言語を運用してる」
「欄外……? 対話形式の本なのに、欄外……?」
沼の底にはとても到達しませんが、
言語沼の浅瀬で、一緒に手招きしておきますね!