やっぱり、このゴミは収集できません(マシンガンズ 滝沢秀一)

「お笑い芸人は副業と言い、本業のゴミ清掃業に従事している清掃員さん」…おもしろそう。

初めて聞く名前でしたが、著者の紹介文に惹かれて、読んでみました。

語り口調で、ネット上で文章を読んでいるような気軽さがあります。

ゴミなので生理的にダメな話もあったけれど、

  • 超金持ちほどゴミは少ない
  • ゴミを分別しない会社は6年以内に潰れている

こういう分析はおもしろかったし、

  • 1年間に、まだ食べられるのに捨てられている食べ物が日本では612万トン。世界の人達が世界の食べ物に困っている人達を助けようと援助するために掻き集めた食べ物の量が390万トン。
  • 日本の最終処分場はあと20年で埋め尽くされてしまう。

これらの事実は、衝撃でした。

清掃員さんの人柄がありありと見えるエピソードも楽しかったです。

私のお気に入りは、「たけし軍団に入り損ねた男」と「元ボクシング日本チャンピオン」さん。

心が震えたのは、青年清掃員さんの、この言葉です。

僕はこの街で生まれ育ったので、この街が大好きなんですよ。

だから僕はこの街を綺麗にし続けたいんですよー。

――ゴミは捨てたら終わりだった自分が、恥ずかしくてたまらなくなりました。

その処理を毎日してくれている人たちがいるから、心地よく暮らせているのに。

ゴミに限らず、私は恵まれた環境があたり前になりすぎているようです。

例えばスーパーで野菜を買うときに、売ってくれた店員さんにはお礼を言うけれど、畑で育ててくれた農家さんや、ここに品物が並ぶまでに通ってきた多くの手のことまでは意識しません。

暮らしを支えてくれている人たちへの感謝が足りないなあ、と痛感しました。

「向こう側のことを考えよう」。

私が捨てるゴミを、集めて処分してくれる人がいる。

食品を作ってくれる人がいて、全国に運んでくれる人がいる。

スマホひとつで買った品物を、毎日届けてくれる人がいる。

社会を維持してくれている、私からは見えない場所にいる人のことまで考えられることが、本当に丁寧な暮らしなのではないか、と思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする