久しぶりに長編小説が読みたくなって、買ってきました。
読んだら、旅に出たくなりました。
劇的ではないのだけれど非日常な感じが、リアルで好きです。
周りから見たら、それほどわからないかもしれない。
でも、彼女たちとその家族には大きな出来事で、確かに変化している――というのが、いい。
逸佳と礼那が「いつかちゃん」「れーな」と呼び合うのや、ズボンを「ずぼん」と言うのが、また可愛くて。
旅の緊張感に、ほっこりと温かみを添えてくれます。
基本は主人公に感情移入して旅を楽しむのですが、親の思いや屈折も自分ごとのように共感してしまうのは、40代の今ならではの感覚でしょう。
理生那には、自分がこれからも潤を愛せることがわかっている。家族なのだから、愛することはそんなに難しくない。
難しいのは――というより、不可能だと思えるのは――、潤を信頼することだ。
これなど、私の中にも存在している点のような暗闇を、的確に突かれて、心がざわりとします。
私も旅に出たいな。
旅じゃなくてもいいから、自分がふと思い立ったときに、自由に動いてみたい。
そして、それはきっと理生那のように、できないと思っているけれども、やってみたらとても簡単なことなのだと思います。
思いながら、まだ踏み出せてはいない。
それでも心だけは、彼女たちとともにアメリカを過ごしたひとときでした。