「イライラするのはよいお母さんの証拠です。」
そう言ってもらえると、毎日の子育てが救われます。
主に乳幼児期の子どもに向き合う悩みが多いのですが、その考え方は、長い子育てのみならず、およそ人生で体験する人間関係のほとんどに通じると思います。
いいなあ、好きだなあと感じたもののひとつが、子どもの成長を「桜と梅」に例えた項目。
私も桜は大好きです。でも子育てに関していえば、梅に軍配を上げたくなります。
いっせいに咲いて、いっせいに散る桜を見るたびに、「みんなと同じに」と期待し、「早く早く」と急かしがちな心を反省させられます。
一方、寒さに耐えて、自分の咲きどきをじっくり見つけて咲く梅に我が子を重ねてみれば、子どもの育つ力の素晴らしさに、心あたたまることでしょう。
子どもに対しても、自分に対しても、いくつになっても。
心のどこかに「みんなと同じように」という気持ちは、私も大なり小なり持っています。
その善悪は別問題として、一生ついて回る「自分と他人との違い」のこと。
梅の花を思えば、差異を悩みと捉えることはなくなるのではないでしょうか。
また、子どもたちのおもちゃの取り合いトラブルについての項目では、「子どもの問題は、実は大人の問題です。」と諭します。
必要な努力はする。でも、無理はしない。
これが子育てでも人間関係でも、共通の鉄則かと思います。
どの悩みや質問に対しても、「悩むことに悩まないで」と、確固たる包容力をもって、柔らかく語りかけてくれます。
乳幼児期の子育てを終えつつある私は、改めてふり返ると、確かにその通りだということが多いです。
そんなに頑張りすぎなくても、悩まなくても、子どもたちはそれぞれに豊かに、元気に育ってくれています。
ただ、それはやっぱり、体験してきたから思えることで。
未経験なことについては、頭ではわかっていても、なかなか…という気持ちになるでしょう。
それでもなお、頭の片隅に言葉があるかないかで変わることも、確かにあると思うのです。
子育て中のお母さんに、生涯を通じて、そっと寄り添ってくれるような1冊でした。