すぐ死ぬんだから(内館牧子)

「すぐ死ぬんだから」って、タイトルが潔くて、いいなあ。

妻となり、母となってから、高年齢の主人公も楽しめるようになりました。

「衰退」の意識に到達したハナが、「先はないのに、先は長い」人生の生き方を考えて動き出すところが、楽しい。

結果的に、自分の外見を磨いていることには変わりないのだけれど、全然違うんです。

それが、あとがきに書かれている「品格のある衰退」なのだろうと思います。

「自然」「ナチュラル」と「セルフネグレクト」

私は、10代の頃は、自分の外見に関心が低く、20代後半で営業職に就いたときに、初めて「外見を磨く」ことの楽しさを覚えました。

メイクを始めたのは、その頃です。

それから、肌トラブルに悩み。

さらに解決しようとして、終わりのない理想の追求と、現実的な時間やお金の問題とで悩み。

一切合切のケアをやめて、肌断食と湯シャンに挑戦して、肌の調子を落ち着けて、今に至ります。

自然のままの方が、肌のコンディションはいいし、何より楽なのですが、やはり綺麗にはなりたい。

といって、手入れを再開すると、また際限なくケアが広がりそうで怖い。

でも、やっぱり…と、堂々巡りの真っ最中です。

「ナチュラルは、すっぴんではなく、ナチュラルメイクだ」とも言いますしね(笑)。

その兼ね合いを見つけられずにいたのですが、今回この本を読んで、少しだけ、見えた気がします。

楽だから、という理由だけで放置するのは「セルフネグレクト」になる。

「セルフネグレクト」ではない「ナチュラル」。

ここに、私の「自分らしい外見磨き」…メイクや、ファッションや、肌のケアや、ひいては理想の歳の重ね方が、見つかるのではないかと思います。

まさか、エッセイや実用書ではなく、小説からヒントを得ることになるなんて。

物語そのものも、十分に楽しませてもらって、オマケまでいただいた本でした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする