コロナウイルス対策の関係で、卒業式の日程が早まり、規模も縮小されました。
学校へ行きづらかった長女も、お友達や先生方に支えられて、いよいよ卒業式を迎えます。
出席したい気持ちはあるものの、式典そのものに参加することはできませんでしたが。
その後の学級懇談では、みんなと一緒に過ごすことができて、嬉しそうな表情が見られたので一安心です。
すべての予定が終わり、大半の親子が下校した頃、「改めて、卒業証書をお渡しします」と、先生が声をかけてくれました。
「さあ、こっちこっち」
校長先生が、先導してくれます。
仲のいいお友達に囲まれて体育館に入ると、舞台は式典そのままに、娘の席がひとつ、ステージの前に置かれていました。
娘は少し戸惑いながら、お友達と一緒に席につきます。
先生方が全員、職員席の位置に並んで立ち、私と旦那さんは後ろから見守ります。
仲良しのママ友さんも、参列してくれました。
担任の先生が、「令和2年度卒業生」と、名前を呼んでくださり。
娘は壇上まで歩き、校長先生が読み上げた卒業証書を、しっかりと両手で受け取ったのです。
体育館が、お友達と先生方の拍手に包まれます。
まさか式に出られるとは思ってもみなかったので、それだけで胸がいっぱいになりましたが、まだ続きがありました。
ピアノで蛍の光が演奏され、先生方が作ってくれた花道を、お友達と一緒に退場します。
娘の後に続いた私に、ひとりの先生が駆け寄ってきて、「お母さん、おめでとうございます。よかったですね」と肩を抱いてくださいました。
長女を入学当時から知っており、見守ってくれていたベテランの先生です。
毎日娘に付き添ってきた私にも、労いをいただいたことが、すごく嬉しかったです。
たったひとりのための卒業式。
娘のためだけに準備をし、共に祝ってくれた、先生とお友達。
私たち親には、感謝の思いしかありません。
子どもの頃にはわからなかった卒業式の重みを、親になって初めて実感しました。
今日ほど、周りのすべてに支えられていることを痛感した日はありません。
本当に、ありがとうございます。
校内すべての先生に見送られ、娘は6年間の小学校生活を終えました。
その夜、布団に入ってから、娘に「卒業おめでとう。お疲れさま」と声をかけました。
寝入り端なので、返事は期待していなかったのですが、
「ありがとう。これからもよろしく」
意外にはっきりした口調で、そんな言葉が返ってきました。
親になってよかったなあ、と心から思いました。