さあ、人生の答えあわせをしよう

ちっちゃなころ、絵本を読んで想像していた。
童話に出てくる、お姫さまになりたい。
みんなに可愛いね、きれいだねって言われながら、輪の中で微笑んでいる。

結婚式で、お姫さまみたいなウエディングドレスを着て、それはそれは美しく可愛らしくしてもらった。
大切なひとたちの輪の中で、祝福してもらった。

小学生のころ、ミュージカルを観た。
私もあんなふうに舞台に立って、高いところからの景色を見てみたい。
お芝居したり、歌ったりしてみたい。

そんなことはすっかり忘れて、高校生のとき、演劇部に入った。
舞台という世界を駆け、ステージから客席を観た。
社会人になってから、ボーカルレッスンを受けてみた。
発表会のステージに立って、マイクを握って歌った。

子どものころ、純粋にわくわくと想像していたことは、思えば全部叶っている。
現実と妄想の区別すらつかないほど、心に描いて楽しんでいたことは。

ちょっと大きくなってからの、外聞や打算が入っている願いーーたとえば、自慢の恋人がほしいとか、大きなお屋敷に住みたいとか、
そういうものたちは叶っていないか、絶妙にずれて、いま私のところにある。

私は、小説家になりたかった。
自分の書いたもので、たくさんのひとたちが喜んでくれて、
生きてるって悪くないよね、って思える本を書きたかった。
私が、そうして本に救われてきたんだ。

いま、私の書いた言葉で、生きててよかったと言ってくれるひとがいて。
小説を書きたいと口に出したら、出版しようって言ってくれるひとがいて、楽しみにしてるねって言ってくれるひとがいて。

有名になりたい。お金持ちになりたい。あいつを見返したい。
10代のとき、そんな気持ちもなかったとはいえないけれども。
それよりももっとずっと前に「こんなふうに、ひとを感動させたい」と強く思ったときの願いは、叶っている。

こんなふうに。
私の中にある世界を、外側に出すことで。
本というかたちの足音が、すぐそこに。

さあ、人生の答えあわせをしようじゃないか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする