風の海 迷宮の岸(小野不由美)

なんでこんなに泣けるのか、ちょっとわからなかった。

はじめて読んだとき、わたしは何歳だっただろうか。
一作目の上巻があまりに苦しかったので、こちらは逆に、ほっとしたぐらいだった。
泰麒の苦悩や葛藤は、痛いほど感じたうえで、なお。
それでも、成長したことと、あるべきところに還れた安堵が勝っていた。

その後の泰麒の物語を、読んでしまったゆえなのか…
安堵も歓喜も、まだ手放しで味わうことができず。
ひとまずハッピーエンドで、と本を閉じるのもためらわれる。

使令を折伏するところや、景麒に罪を打ち明けてからのシーンに、
おそろしいほど内臓をぎゅうと掴まれて、息が苦しくなる。

わが子の葛藤と成長を見ているときに似ている、と気がついた。
わたしはただ、見守るしかできない。
子どもの生命力を信じて、祈るような気持ちで。

それと同じように、物語を追うことしかできない。
この幼い麒麟が、幸せに微笑ってくれたらいいのになあ、と思いながら。
そのままではいられないと、知っているから。
再び帰還したときの彼の弱さと強さも、とても好きだけれど。

昔とは違う方向から、やっぱりずぶずぶと沼にはまっていく気がする。
十二国記。
特に初期の作品を読んだのは、もうずいぶんと前だから、自身の変化もおもしろい。

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