久しぶりに小説を読んで以来、物語を読みたい熱が再発して、本屋さんでの周回コースに、小説コーナーも入れています。
こちらは、妻・夫・娘・息子。いろんな家族の、いろんな立場の人たちが、毎日を生きようとしている、短編集でした。
裏表紙のあらすじ、
「セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。仕事で子育てになかなか参加できず、妻や義理の両親から責められる夫。」
を見て「あ、なんかわかる…」と思って、買ってきた1冊です。
自分と遠いようで近いような人たちの物語を、味わいました。
ぐんぐん読み進むというよりは、甘くてとろみのあるお酒を、少しずつ喉に流し入れるような感じです。
しんみりと、おもしろかったです。
感情移入したい
あとがきの対談に、
(本が好きな人は)ただ幸せな気分になりたいだけじゃなく、いろんなことを考えたい。感情移入したいんじゃないかな。
と書かれていて、思わずうなずきました。
その気持ち、とてもよくわかります。
私がおもしろいと思う小説は、確かに、自分が感情移入できるものとか、考えさせられるものだったなあ、と。
小説家志望だった昔、実はちょっと悩んでいたんですよね。
ベストセラーや名作と言われる物語の中にも、どうしてもおもしろいと思えないものもあって、魅力を理解できない私は、みんなに愛される物語は作れないんじゃないか。って。
でも、考えたり感情移入したりするのが好きで読むのだとしたら、人の数だけ、好みがあるのがあたり前で。
たまたまたくさんの人の好みに合致したものが、ベストセラーと呼ばれるのだとしたら、別に悩む必要もなかったな、と思いました。
それに早く気がついていたら、読むことも書くことも、もっともっと楽しめたような気がします。
今はもう、物語を書くことはしていませんが。
これからは、読書も、もっとフラットに楽しめそうです。