【読書スポンサー様】滅びの前のシャングリラ(凪良ゆう)

今回の読書スポンサー様は、 佐野敦子 つるちゃんです!

アクセサリーや、書や、お茶会を通して、

「ますます輝くあなたの笑顔」に、贈り物を届けてくれる つるちゃんは、

実は私に、凪良ゆうさんを読むきっかけをくれた人。

「おもしろいんよー!」って、本でも笑顔を届けてくれたんです。

そんなつるちゃんが、これぞ! と贈ってくれた1冊が、

【滅びの前のシャングリラ(凪良ゆう)】

「あと1ヶ月で、地球が滅亡する」世界のお話です。

凪良ゆうさんが描いたら、どうなるんだろう、って。

読んでみたら、私の感情の揺れがすごかった…!

“まったりと絶望しているぼくのような『誰か』”

という表現が、いい得て妙。

1話目も2話目も、まったりと進んでいると思い込まされていたのですが、

ラストに向かって、喉の奥から、ぐっと何かがせり上がってくるような感じがして。

3話目あたりから、もう、どこを読んでも、それが迫ってきて、涙がぼろぼろ出てくるんです。

私が母親だから、よけいに引っ張られるのかなあ。

“間違わないやつなんていない。

それを許しすぎても、許さなすぎても駄目になる。”

“幸せも不幸せもただの記憶で。

思い出すときに嬉しくなるかムカつくかだけのちがいだ。”

その言葉たちに、特に泣けました。

人間って、生きるって、本当に身勝手だけど、

今さらだけど、今さらだからこそ、生きたいよ…と。

凪良ゆうさんを読むと、私はいつも、透明な水面をイメージします。

さらさらと流れる小川だったり、勢いよく湧き出す源流だったりと、さまざまなのだけれど、

どれも透明な水が流れていて、水面を通して、底の世界を眺めている感覚です。

『滅びの前のシャングリラ』は、リアルに想像したら、美しさが皆無の、ぐちゃぐちゃな現実なんだけれども、

その中にも、透明な川が流れています。

水底の物語を読みながら、気づいたら川の中に引き込まれている。

穏やかな流れだと、高を括っていたら、物語が渦を巻いて、私を呑み込んでいくんです。

終わりが気になる。

でも、物語が終わったら、この世界が滅亡してしまうから、終わってほしくない。

地球が滅びるからこそ、彼らが今、このように在れるのだとわかっていても、

それでもなお、幸せに生きてほしいと、願ってしまう。

終わりを、物語の中の彼らは、どうやって納得するんだろう。

凪良ゆうさんは、ページをめくる読者を、どうやって納得させるんだろう。

“最期の日を待ちながら、あたしたちは繁殖するようにつながっていく。”

ぐちゃぐちゃの現実が折り重なった終わりは、だけどやっぱり、美しかった。

小惑星の衝突後は、絶対に、今よりさらに凄惨だろうから、

凪良ゆうさんが、どこまで描くのか。どこで終わらせるのか。

実は、かなり、どきどきしていました。

ラストに、ステージに立って、魂を開け放つ彼女の物語を持ってきてくれたから、

私も“やわらかい眩しい気持ち”で、最後を迎えられた。

それは、子どもの頃に私が想像していた、世界が滅ぶ瞬間と似ていて、

とてもほっとして、救われたような気持ちになったんです。

「ありがとう」って思った。

そう、私は最期に「ありがとう」で、全身全霊を震わせて死にたい。

その望みのかけらを、見捨てられることがなかったのが、嬉しかった。

滅びの前の…、目の前には滅亡と絶望しかなくて。

“遠からず訪れる最期のとき”、

幸せのようなもの、希望のようなものを感じられることが、

私にとっての、シャングリラかもしれない。と、思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする