死について考えるのは、怖いです。
心が持っていかれそうになるから。
その重さで、今大切にしたいものを見失いそうになるから。
だけど本当は、逆なんだってわかっている。
「人間は死ぬ」とわかっていて、受け入れている人こそが、死ぬ直前まで穏やかな幸せの中にいられるのだろう、と。
そうは言っても、死について考えるのはやっぱり、心が乱れそうで怖いじゃないですか。
だから、怖くなさそうなやつにしました。
40歳になって、平均寿命を見ると、もう人生の折り返しなのかと驚いて。
若いときには、就職して結婚して子育てして…までしか考えていなかったけれど、それからの暮らしも、そろそろ現実味を帯びてきます。
その終着点には、自分の死ぬ日。
もちろん、笑って死にたいです。
覚悟を決めて読んでみました。
月並みな表現しかできないのが悔しいほど、胸がいっぱいになって、泣きたくなりました。
それは決して絶望や恐怖ではなく、涙と一緒に、体の奥からエネルギーが溢れ出るような感覚で。
明日死ぬかもと思ったら、苦しいのは嫌だし、まだ死にたくないけれど。
明日死んでも笑いたいなと思って今日を過ごすのは、怖くない。
優しく洗い流してもらったような、あたたかい気持ちになりました。
思い出すことはできませんが、産湯に入ったときも、こんなふうだったのかもしれません。
だとすると、まさに「生まれ変わった」ような読後感です。