「女の子は、明日も。」を読み終えて、「ああ楽しかった! やっぱり小説っていいな!」と、うきうきしていた私ですが。
こういう、大人の女性の感覚を描いた話なんて、10代の頃は手に取ろうとすらしなかったな…と。
当時読んでいたのはライトノベルが多く、激しく揺れ動くファンタジーか恋愛物が中心で、何でもない日常を描く物語は選びませんでした。
日常なら、すでに十分味わっているじゃない? せっかく読むのに、非日常じゃないの?
昔の気持ちを言葉にすると、そんな感じ。
でも今は、何を読んでも、たいがい楽しいんです!
理由は3つあるなあと思っていて。
まず、自分好みの本を選ぶ目ができてきたから。
何となく「これ、おもしろそう」「好きかも」という勘が当たりやすくなってきた。
裏を返せば、あえて冒険をしなくなったとも言えるので、ときどき意識して、新しい作家さんを探すこともあります。
2つ目は、許容力が上がったから。
拒否のハードルが低くなったことで、食わず嫌いが減ったし、否定から入って読むこともなくなりました。
そして3つ目は、何より歳をとったから。
この本の、「感情の老化」の解説にもあったのですが、経験の引き出しが増えることで、共感力が高まったのだと思います。
その結果、よりいろんな物語やキャラクターに感情移入しやすくなり、楽しさが増したんですね。
さらに、同年代の作家さんが増えたことも、年齢を重ねた喜び。
この空気感、この匂い、いいな。
そう思って、著者のプロフィールを見ると、歳が近かったりするんです。
同じ時代の空気を吸い、同じ物事に触れたかもしれない作家さんの描き出す世界は、共感もいっそう高まりやすいです。
同じ年頃の人が、今こんなことを考えているんだ、と知れるのも嬉しい。
これが10代となると、まだデビューしている人自体が少ないですし。
物語の厚みやおもしろみも、やっぱり大人には敵わないところも大きくて。
「稀代の才能」というような宣伝文句が、逆に期待値を高めすぎたからなのか。
作品そのものに、若さという伸びしろを含めた評価なんだな、と感じていました。
40代になって、同年代の作家さんの熟成された魅力が花開いていくのを見る、幸せな心持ちです。
歳をとるほどにそうであるなら、これから何十年、どんどん楽しめる小説が増えていくなんて。
想像するだけで、わくわくします!