こちらの続編です。
前作同様、漫画でわかりやすい事例が盛りだくさんでした。
今回新たな発見だったのは、
- 認知症の人にとって、入浴が想像以上に負担であること
- 「迷惑をかけたくない」「役に立ちたい」という気持ちが問題行動につながること
- 認知症が原因で起こる万引きがあること
- 災害時のサポート
です。
実際に認知症の義家族がいて、できなくなってきたことを一生懸命に繕って自分でやろうとしたり、会計前の商品を開けようとしたり…といった様子を見ているので、より実感が伴います。
また、
認知症になると、新たに記憶するのは難しくなりますが、感情にまつわる記憶は根強く残ります。
私たちが思う以上に、「迷惑をかけた」「困った」という感情は強く残っています。
というのも、接していると感じるので、こうして言語化してもらえると、理解が深まってよいですね。
今作には、介護する側の心理的ステップとして、
- 戸惑い・否定
- 混乱・怒り・拒絶
- 割り切り・あきらめ
- 受容
についての解説や、ストレスを抱え込まない大切さにも言及されていました。
改めて、私は頑張っていたんだなあ! と。
決して心を許せるとはいえない、他人ならば苦手とするような相手の気持ちを推し量り、自尊心を傷つけないように、しかし困らないようにサポートしているわけなので(笑)。
私だけが責任を負う気にはとてもなれなくて、でも近くにいるだけに「きっとこれをこんなふうにしてほしいのだろう」と感じ取ってしまうと、無下にはできない。
本に書かれている、望ましい対応のいくつかは、何なら自然にやれているぐらいに、気を張っている。
日々の自分を労おう、と思いました。
それでも、身近に認知症の家族がいてよかったのは、「結局は個々に合わせた支援になる」と知れたことです。
認知症の方の介護現場に行かせてもらったときは、通り一遍の知識があったにも関わらず、その人は何ができて何ができないのか・どこまで理解できるのかが、まったくわかりませんでした。
だから私には何もできないと思っていたけれど、いつも見ている家族だと、些細な違いや言葉にしない望みが、何となくわかるのです。
専門知識があると、もちろん大きな助けにはなります。
ただ、知らなかったとしても、目の前の相手をきちんと見ていればコミュニケーションはとれるし、それなりにサポートもできるのだ、と。
子どもと同じですね。
「発達障害」とひと括りにすると、わからないことだらけですが、いつも見ているわが子のサポートは、どうしたらいいのかを何となく感じ取れて、最適解を探しやすい。
――大好きなわが子と、苦手な義家族とを、まったく同じようにケアするには、まだ私の器が足りませんが…。
後悔のないように、できることをやっていこうと思います。