介護の初任者研修を受けたときに、認知症の勉強もしましたが、具体的には今ひとつ理解できませんでした。
実際にご家族の介護体験を聞いても、ただただ大変そうだなというイメージが先行していました。
けれど、いよいよ義家族にも認知症の兆候が出てきて、身近な問題になったとき。
何もわからないまま手助けはできないし、このまま介護に向かったら、負担で私が潰れる。
切実に感じたタイミングで、ちょうど出会った1冊だったのです。
もう、すごくわかりやすかったです!
知識としての認知症だけでなく、物語のように気持ちに寄り添える本でした。
体や脳がこんな状態だから、こんな気持ちになって、こんな行動に結びついているんだ!
心の動きがわかると、認知症=理解できない相手、ではなくなってきます。
認知症になったら、理解できない言動が増えて、対応していかなければならないのだと思いこんでいましたが。
そもそも認知症の症状には2種類あって、
中核症状…脳細胞の萎縮が原因で、誰にでも現れる可能性がある。
記憶障害、見当識障害、実行機能障害、判断力の低下、失行、失認、失語、失計算など。
行動・心理症状…本人の生活や人生、環境などに左右されるので、現れるかどうかは個人差がある。
徘徊、暴言・暴力、妄想、介護への抵抗、弄便・失禁、睡眠障害、抑うつ、異食など。
で、よく聞く介護の体験談としては、「理解できない行動・心理症状への対応が辛かった」ものが主だったんですね。
中核症状をサポートしていくのと、行動・心理症状に対応するのとでは、確かに介護者の負担が変わってきます。
また、個人差がある行動・心理症状を悪化させないために、
【症状悪化のステップ】
不安→不満→不信→不穏
【症状回復のステップ】
安堵→安心→安着→安穏
の解説とともに、「寄り添い共感型」のケアをすすめています。
認知症の代表的な4タイプについても、わかりやすく説明されていますし、漫画なので読みやすいし。
認知症の方に向き合う第一歩には、最高の本だと思います。
最後に書かれていた、著者の言葉が印象的でした。
みなさんの中に、認知症の人を怖いと思った経験のある方はいないでしょうか。
認知症の人が怖い理由、それは「認知症の人のことがわからないから」です。
人間はわからないものを本能的に怖がります。
認知症の人も同じなのです。自分がどうなってしまったのかわからなくて怖いのです。
でも、認知症を理解する人が増えれば、認知症の人でも、最後まで自分らしく、住み慣れた地域で生活できます。
認知症の人が生活しやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい社会になります。
みんながあたりまえに「認知症」を理解して受け入れていけば、認知症は怖くなくなっていきます。
そうなっていけば、いずれ「認知症」という言葉さえいらなくなっていくのではないでしょうか。
これ、子どもが発達障害のグレーゾーンと言われて、サポートし続けている私が感じたこと、そのままなんです。
今の社会で生活するのに不都合があれば「障害」と呼ばれるけれど、そうでなければ「個性」ですむ。
「障害」という言葉がなくても、みんなが生きやすい世界になればいい。
そういう意味では、子どもも老人も、発達障害も認知症も、同じなんだ。
自分が勝手に作り上げていた、「認知症」という囲いを壊すことができただけで、価値のある1冊でした。