助産師である寺田さんは、小学校を中心に「いのちの授業 性=生 命をありがとう――生まれてくれてありがとう・産んでくれてありがとう――」を、行っています。
こちらは、その授業内容を再現しながら、掘り下げて書籍化したものだそうです。
「はじめに」で、寺田さんは、このように述べています。
きっかけさえあれば、わが子が生まれたときの記憶は、たやすくよみがえってくるもの。
そして同時に、「元気で生まれてくれたら、ほかには何も望まない」と願った気持ちも、思い出せるのだと感じています。
「いのちの授業」を通して出産を再体験、あるいは疑似体験することで、目の前の子どもの「そのまんま」を愛しく思え、子育てが楽しくなる。
そんなうれしい変化が、多くの方に起こるといいなと、願っています。
(中略)
「生まれてくれてありがとう」
この本が、子育ての原点を思い出すきっかけになれれば幸いです。
その通りの1冊でした。
一緒に「いのちの授業」を体験しながら、我が子を産んだときのことが、鮮明に甦ります。
どうして、この気持ちを忘れ、多くを望み、怒ってしまうのだろうと、不思議になるぐらい。
生まれてきてくれたときの喜びは、今でもこんなに、私の中に残っているのに。
「きっかけさえあれば」との言葉通り、どのお母さんも、まるで昨日のことのように、きっと胸が熱くなるのでしょうね。
子どもたちに伝える
命の始まりから、妊娠・出産までを、子どもたちにわかりやすく伝えてくれる内容でもありました。
教科書のような知識だけではなく、赤ちゃんを迎える家族の思いが詰まっていて。
親も子も、自分のことのように、その愛情を感じることができます。
「生まれてくれてありがとう」「生まれてきてよかった」を、全身で感じた後に、ふれあいボディワークもしているそうです。
想像するだけで、温かくなりますね。
また、生きられなかった赤ちゃんのことや、無意識に「五体満足=優れている」と考えていた著者の経験も、母としての自分をふり返らせてくれるお話でした。
「人間は誰もが、ただ生まれたまんまで素晴らしい存在」。
子どもたちと向き合うときに忘れたくない、そして伝えていきたい気持ちです。
読み終えて、今すぐに我が子を抱きしめたくなりました。