こちらは、小さな本屋さん・ 比嘉教子 さん こと、ひがっちさんからの1冊です。
【約束(村山由佳)】
“果たせなかった約束”という言葉に、鉛のような重みを感じるのは、
私にも、心当たりがあるからなんだろうな、と思います。
誰かとの、約束。
自分との、約束。
私が果たせなかったのは、辛くて苦しくて、悲しくて許せなくて、
「絶対に、忘れちゃいけない」という、自分との約束が多いです。
“記憶”って、完全に消えるわけではないけれど、
私の内側での収納場所は、どんどん変わっていくし、
普段は目につきにくいところに納まってしまったら、
薄い時間の幕が、幾重にも降りてきて、ほとんどを忘れてしまう。
生きるために。自分の幸せのために。
“時とともに色褪せていくのは、記憶ばかりではないのだ。”
と書かれているように。
それは、必ずしも悪いことではないのです。
時間は、何よりの特効薬でもある。
でも、この本を読んで、
「果たせなかった」と思うのなら。
ワタルに倣って、果たしてみても、いいのではないか。
“過去をくり返し見つめ直すことで、未来を変えていくことならたぶん、できる。”
遠い約束を果たすために、記憶に片をつけて、
自分の人生に、収納し直すことは、できるんじゃないかな。
久しぶりに、むき出しのまっすぐな小説を読んだので、
時間の幕を取っ払って、私も向き合ってみたくなったのです。
曖昧に持ち続けていた、自分との約束に。