「ドラえもん映画の脚本を書いた人だよ」
と、長女が借りてきた本です。
「世界から何かひとつを消す代わりに、1日の命を得ることができる」という設定と、アロハな悪魔のキャラクターが、まずおもしろいです。
軽い読み口なのですが、ひとつ消えるごとに、生の輪郭がはっきりしていく感覚があり、同時に深い物語でした。
作中の、お母さんからの手紙は、愛情に満ちていて。
同じ親として、こんなふうに子どもを生涯愛せたら、最高に幸せですね。
「何かを得るためには、何かを失わなくてはね」
母さんの言葉が蘇ってくる。
母さん、死にたくないよ。死ぬのは怖いよ。でも、母さんの言うとおりだ。
何かを奪って生きていくのはもっと辛いよ。
主人公の心からの叫びに打たれながら、死が近づくたびに、どんどん濃くなっていく命の色彩を体感することができます。
主人公が最後に悪魔に語った、
自分に与えられているモノやヒトや時間、当たり前だと思っていたそれらこそが僕自身をかたどって僕たらしめているのだということを知りました。
この言葉が、私たちの生きる世界の理なのだな、と思いました。
ラストで、父の元へ自転車をこぎ出す場面は、目頭が熱くなります。
コロナウイルスが落ち着いたら、私も両親に会いに行こう!