今回の読書スポンサー様は、
魔法の手のエステティシャン・ 土田 ゆりこ さんです。
そして、こちらの本は、小さな本屋さん・ 比嘉教子 ひがっちさんの選書です。
推しの推し本を、推しに贈ってもらって読む!
幸せのひとつの形を、極めた読書ではないだろうか。
【四十九日のレシピ(伊吹有喜)】
“お父さん、私、愛ってのがよくわからない”
“乙美は、幸せだったのだろうか。”
登場人物たちが呟く、おそらくは人の数だけ答えがあるのだろう問い。
家族って、何だろう。
愛って、何だろう。
幸せって、何だろう。
「では、私の答えは」と、正面から見つめてみたくなりました。
この本は、どこを読んでも泣けてくる。
寂しさだったり、悲しみだったり、喜びだったりが、
ぐるぐると複雑に混じりあい、涙になる。
尊くて、泣けるのです。
誰もが迷って、悩んで、傷ついているのだけれど、
誰もが、大切な人を想っている。
私はたびたび、登場人物に感情移入しますが、
この物語では、目の前に描かれているキャラクターの向こう側に。
彼らの想いの先にいる人に、気持ちを寄せて、一緒に泣いてしまいます。
“親が子を支えるように、みんな、誰かの踏切板になって、次の世代を前に飛ばしていく”
“それは無数の匿名のテイクオフ・ボード、お互いさまだから……”
誰かを大切に想うとは、まさにこういうことなのだろう。
相手への想いごと、これからどう生きるのか決めて、歩いてゆく。
この行為が愛でなかったら、何だというのだろう。
愛がわからないと言う彼らは、誰もが愛を、深く知っているのだと思いました。
揺れ動くひとつひとつの感情が、湧き上がる気持ちが、すべて愛おしく尊く。
傷だらけなのに、滑らかな手触りの、幸せ。
最後は、あたたかい涙とともに、本をそっと閉じました。