タイトルに惹かれたのは、どこかで安心を求めているからでしょうか。
帯には、こう書かれています。
猛威をふるう新型コロナウイルス
先の見えない今だからこそ考えたい
「命より大切なものってあるの?」
幸いにして、私は今、コロナウイルスの渦中や最前線にいるわけではないけれど。
閉塞感や不安感のようなものは、暮らしのあちこちに漂っていて、息苦しさを感じることも多いです。
普段は何ともない人でもそんなふうですから、苦しさや辛さを抱えている人は、さらに悩み深い日々なのだろうな。
生きるのに必要な温かいエッセンスは、本書にもたくさんありました。
フタをしていたつらい思いは、出つくしたときに楽になります
大切なのは依存しないことではなく、いろいろなところに依存できることです
明橋先生の育児書で語られてきたことは、人が生きる基本でもあるのだと、折にふれて感じる内容です。
中でも、今の私にぴったりとはまったのは、次の2つでした。
「関係が壊れたときこそ、続けるべき大切なことがあります」
親が子どもにかける言葉の重みは、親の想像以上のもの。
だからこそ、親もきちんと謝ることが大切だし、子どもの言動の表面だけで判断せずに、背景を知ることで会話ができるようになるそうです。
思春期で、素直な会話が難しくなってくる時期は、より気をつけなければいけませんね。
そして、子どもとの関係が悪くなってしまっても、決して親がやめてはいけないこと。
ひとつは、衣食住の提供。
衣食住を何も言わずに提供し続けることによって、親も自分のことを大事に思ってくれているんだと、子どもに伝わるわけです。
そして、挨拶。
挨拶の特徴は、無害なことです。
これがいいとか悪いとかの価値判断を含みません。だから害のない言葉です。
さらに、「おはよう」「おやすみ」というのは、相手の存在を尊重しているということですよね。それがすごく意味のあることなんです。
ですから、一度きちんと謝って、そのあとは衣食住の提供、そして挨拶です。
挨拶は返ってこなくてもいいんです。「返事は?」などと言ってはダメです。
返事が返ってこなくても、こちらから挨拶を続ける。衣食住の提供を続ける。
自分がどうであれ暮らしが保障されていると、子どもは安心して、心の内を出せるようになるんですね。
「敏感で傷ついた心は、いつでも育て直すことができます」
もうひとつは、こちら。
HSP(ひといちばい敏感な人)が生きていくために必要な、
- バウンダリー(境界線を引く)
- ダウンタイム(休憩を取る)
の話です。
心身が疲れているときは、境界線を引く力も弱まりがち。
他人の感情に、つい引きずられてしまいます。
本文にも「HSPは、怒られるということに、すごく敏感に反応してしまうことが多いです」とある通り、最近は自分でも些細な言葉が気になりやすくて。
バウンダリーとダウンタイムを、改めて意識してみることにします。
相手に合わせることと、自分の軸までブレてしまうこととは違います
せっかく好きになれた自分を、見失わないようにしたいですものね!
お茶でも飲みながら、ほっと一息、開きたい1冊です。