「笑っている方がいい」と、最初に思ったのは、いつだっただろう。
小学生の間は、とにかく人とつき合うのが苦手で、自然な笑顔が出るはずもなく。
近視が強く、不格好な眼鏡をかけていたので、あだ名は「メガネザル」でしたし。
自分の顔に自信がないのに、人に向かって意識的に笑いかけるなんてこと、できませんでした。
また、当時は父親が、短気でムスッとした印象が強かったため、それが私にとっての普通だったのだと思います。
中学校の終わり頃でしょうか、そんな父に反発して、「私はイライラと怒鳴ったりしない、にこやかな人間になる」と決めて。
高校からは、自分を変えて生きようとしてきました。
その中で、笑顔を作ることができるようになり、また笑顔を向ければ笑顔が返ってくることもわかり、少しずつ、コミュニケーションが楽しくなってきます。
社会人になる頃には、外では常に微笑みを浮かべて過ごせる程度には、鍛え上げられました。
苦しい笑顔と、楽しい笑顔
人当たりは、昔と比べたら、格段によくなった私。
でも、笑うのがしんどいなあと感じることも、たびたびありました。
今なら、理由がわかります。
「相手からどう思われるか」「ここは笑っているべきところ」「にこやかでいなくては嫌われる」
そんなふうに、周りの目や、他人を気にして作られた笑顔だったからです。
こうなると、四六時中、愛想笑いをしているようなもの。
疲れるのも、嫌になるのも、あたり前ですね。
だから、他人のために笑おうとするのを、やめました。
真顔の自分より、笑っている自分の顔の方が好きだから。
笑っている方が、楽しいことが多くて幸せだから。
今は、誰かのためではなく「私のために」、笑顔でいることにしました。
自分のための笑顔は、苦しくなったり、つらくなったりしません。
笑っている方が楽しいから、心地よいから、笑顔でいることを選んでいます。