草が泳いでる

川のまんなかで、草が泳いでいる。

浅い川の中央に、草が生えていて、
水の流れにあわせて、ぴろぴろぴろ、と揺れていた。
それで、まるで泳いでいるようだと思って。

もしかしたら、この草むら。
おおきな魚の、背中かもしれないよね。
背びれが、ぴるぴるぴる、と動いていたりして。

それとも、実は。
草に見せかけた、ちいさなお魚の群れだったら。
スイミーみたいに、ひらひらひら、と欺いているんだよ。

いやいや、お魚なんかじゃなくて。
キリンのたてがみ、というのもありだ。
ん。そうなると、ざぶざぶざぶ、と潜っていることになるのか。

たてがみならば、竜がよさそう。
ぐおん、と長い首を優雅にふって昇る、水の竜。

この草が、草であることを疑っているのは、
いまこの瞬間、世界でわたしひとり、かもしれない。

草が泳いでいる。
それだけの景色を見て、草ではないなにかを想像して、遊んでいる。

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