夏休みということで、長女が学校から借りてきました。
もともとは携帯小説からというので、軽く読むつもりでいたら、意外におもしろかったです。
放課後の特別教室の、特有の空気が懐かしい。
ありふれた恋といえばそうなのだけれど、どちらの物語も、自分を閉じ込めている主人公が、何だか他人事とは思えませんでした。
彼女たちが、友達や家族と向き合い、ささやかに殻を破っていく勇気は小気味よかったし。
見ているだけで心をわしづかみにされるような、ほんの少し触れるだけで全身が震えるような…そんな恋には、覚えがあって。
もう当事者ではないのだけれど、私にもあった、あの頃。
戻れないのだと知ったからこそ、より輝いて見える、今はもう対岸でしか思い出すことのできない、きらきらした感情。
それが、読んでいる間だけ、今この瞬間に起こったこととして甦ります。
久しぶりに体験した、思春期の感情の振れ幅は、あまりにも大きくて。
本を閉じて、吐き気と頭痛に襲われたぐらいです。
あの頃は、よく毎日生きていられたものだと思います。
舟がゆっくり遠ざかるみたいに、感情の波が静まったあとに、じわりと広がる安堵感と喪失感と。
もう二度とはない人生の一時期を、だけどこうして、私は確かに覚えていて、いつでも味わうことができるのだという。
素敵な追体験をさせてもらいました。