こちらの続編です。
前作で、最初と最後が繫がる仕組みはわかったので、どんなふうに物語がめぐっていくのか、わくわくしながら読みました。
「わたしたちは、知らないうちに誰かを救っている」前作と、「人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している」今作。
この繋がりが、本当に素敵なんです。
作中のマスターの言葉を借りるなら、
「そうなんだよ、わからないだろ? でも確実にいるんだ。さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。
どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった。どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ」
「でも一番素晴らしいのは、遠いところで手を繋いできた人たちが、自分がどこかで誰かを幸せにしてるかもしれないなんてまったくわかってないことだね。
それがいいんだ。自分の身の回りのことに取り組んだ産物が、あずかり知らぬ他人を動かしたってことが」
日々のささやかな暮らしをおざなりにせず、真摯に自分の人生に取り組もうと思わせてくれます。
そして私も、12の物語に、たくさん背中を押してもらいました。
“マイナーチェンジをくり返して、そのままの姿で新しいことにトライしたり、できることが広がったりする”若旦那に、勇気を。
“思い出は流れゆく時間を留めておくピンのようなものだけれど、留める場所は人それぞれ”なゆえにすれ違うけれど、確かな史実を重ねていく夫婦に、優しさを。
“自分が一番大事だって感じることをちゃんと大事にできた”ギター弾きの涙からは、湧き上がる生命力を。
ひとつひとつ受け取って、心に染み込ませました。
おばあちゃんと折り合いが悪い紙芝居師と、そのおばあちゃんの想いは、嫁の立場で悩ましい私には、わかりすぎてヒリヒリしましたし。
「合わせんでも、ええやん」と、自分の道を自分で守り歩きながら、夫を尊重してきた妻には、これからの夫婦像を重ねて、憧れます。
ほっと一息ついて、「さあ、明日も頑張ろう」と思える読後感。
本そのものが、まるでカフェのようでした。
月曜日にそっと閉じた「月曜日」に、ありがとう。