暮らしやすさや心地よさは、もちろんのこと。
自身と向き合って身軽になり、今を生きられるようになる片づけの効果は、日々感じるところです。
こちらは、片づけの方法というよりも、なぜそのやり方を選んだのか、心の持ち方が書かれている1冊。
表紙をめくると、カバーにこんな一節がありました。
うまくまわらない原因を家族のせいにしないで、自分で主体的に家事を切り盛りする。
できないからといって、自分を責めない。
どんな空間でどんな時間を自分は過ごしたいのか、そのために何をどこに置くかを考える。
片づけとは、システムづくりなのだと気づきました。
私は、他者を思う心のゆとりをもち、自分の人生を肯定して暮らせるようにと願いながら片づけをしてきたように思います。
具体的には、
- 暮らしとは「幸せの型紙」を作り微調整していくこと
- 物を置くときに「福を置く」とイメージする
- 片づけは単独の動作ではなく、あらゆる行動の“のりしろ”
- 「まっすぐ歩ける家」。それだけでもストレスフリー
- 家は「自分たちだけのもの」ではなく「社会の一部」
このように考えるから、片づけられるシステムができる、という流れがよくわかります。
著者の思考が見えるので、むやみに真似てみる気にはならなくて、「なるほど」「私だったらこうかな?」と、ひとつひとつじっくりと読めました。
何より素敵なのは、著者が60代の主婦だということ。
実両親に近い年齢です。
自身の子育てをふり返り、後悔も受け入れた上で、成長した子ども家族を見守る距離感や。
自分たちは「子離れしたあとの物への執着と、簡単に欲しいものが手に入る経済的な豊かさがある、持ちすぎに慣れてしまった世代」である、と見つめられる冷静な視点。
子どもたちが独り立ちしたあとに迎える60代をどのように過ごしたいか、今から考えるきっかけをもらえるなんて、ありがたい1冊ですよね。
私は、実際にやってみて生きやすかった「シンプル」を基本にしたいので。
片づけは「欲望の整理」
思い出は代謝させる
「役に立つか」「美しいか」
これらの言葉が、ひとつの指針になりそうです。