熟年離婚、したくなければズボラ婚。(池田明子)

梅沢富美男さんの奥さまが書いた本だそうです。

何だか、一昔前の「母ちゃん」を思い起こさせるような内容でした。

池田さん自身は、植物療法やハンドケアマッサージ、心理学を勉強し実践しています。

旦那さんへの気遣いも、細やかな方だなあと感じたし、載っていた写真も綺麗な奥さまの趣。

けれど、作中でいうところの「心の器」が、丈夫で大きいんです。

どーんと構えて、からっと笑い飛ばせるような。

そのイメージが、私にとっては「母ちゃん」でした。

怒りの仕組み

心理学の面からの、「怒りの仕組み」の話を読んで、納得しきりでした。

「がっかり」「みじめ」「悲しい」「怖い」「失望感」「情けない」「失敗」など、自分の弱さや劣等感を認めるこれらの感情を「第一感情」と言います。

第一感情というのは、自分にとってマイナスな出来事が起きると、最初に出てくる感情なんです。

でも、ほとんどの人は子供の頃から「弱い感情を見せないように」と育てられているため、第一感情を素直に受け止めることが出来ずにいます。

その結果、「怒り」という攻撃的な感情に無意識のうちにすりかえ、自分の心を守ろうとしているんです。

だから、怒りは「第二感情」と言われています。いわゆる「キレてしまう」という行動の裏で、自分の弱さを隠しているのです。

で、実際に池田さんが、旦那さんが浮気して、怒りの感情が出たとき。

大きく揉めなかったのは、「生きがい」があったからと、「自己受容」が深まったから、だそうなのです。

“ありのままの自分を認めること”が出来るようになると、起きたことを冷静に受けとめられるので、「怒り」にのみ込まれずに、冷静な対応が取れるようになります。

そうするためには、まず、「丈夫な心の器」というものが必要なんです。

この話、昔も聞いたことがあったはずなのですが、そのときは知識として得ただけで、実感はまったくありませんでした。

でも、今こうして、穏やかな日々を過ごせるようになってみると、その通りなんだということが、よくわかりますね。

ちょうどいい距離感

「夫の浮気なんて、笑っちゃうくらいがいい」とか、「結婚相手は、寛容な人。まずはこれが大前提」とか。

10代20代の私が読んでも、きっと理解できませんでした。

昔はもっと理想論的に生きていたし、自分とは違う考えを試したり受け入れたりする器もなかったから。

けれど、今は深くうなずけるほどに、よくわかります。

自分と相手が違う生き物なのだと知って、自分も相手も尊重することを覚えた今だからこそ、です。

これからの夫婦の距離感が、ちょうどいい加減につかめそうな1冊でした。

作中には、論語からの「君子は和して同せず、小人は同じて和せず」という言葉もありましたが。

語られている数々の心がけは、夫婦関係だけでなく、すべての人間関係の基本になる考え方でもあると思います。

家族は人間関係の基礎になるもの、という事実もまた、わかってきました。

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