語り手は、なんと車でした!
緑デミオが可愛い。そして、物語はおもしろい!
事件の謎解きが、人間ではなく車の視点で、「車が知り得た情報だけで全貌が明らかになる」のがすごいです。
もし緑デミオの持ち主たちを語り手に据えていたら、この展開にはならなかっただろうな…と思うと、車の一人称が素晴らしく必然で。
語り手には感情移入しやすいので、車がどんどん可愛らしく目に映るようになってきました。
人間のキャラクターはというと、望月家や隣の校長先生、記者の玉ちゃんなど、こちらも読み進めるほどに愛着が湧いてくる人々。
車が持ち主を贔屓して語るからこそ、魅力が倍増するようです。
私は自分の車からどう思われているのかな…と気になったり。
子どもの頃、物を自然に擬人化して会話していたのを思い出したりして、自身もほっこりとした気持ちになります。
帯に「チャーミングな家族小説」とあるとおり、魅力たっぷりの1冊でした。