カフェで楽しそうにおしゃべりしながら、ドリンクを飲むママがいた。
隣には、こちらも笑顔でうなずきながら、哺乳瓶のミルクを冷ますパパが座っている。
その隣に置かれているのは、赤ちゃんの小さな足が、ぴょこんとのぞくベビーカー。
なかなか適温にならない哺乳瓶に、ママが自分の冷たいドリンクカップを触れ合わせた。
さあお待たせ、とパパが赤ちゃんを抱き上げ、膝でミルクを飲ませる。
パパとママは、向き合って赤ちゃんを見つめたり、お互いを見つめたりして、おしゃべりを続けている。
ときどき、同じ方向を見て、笑い合う。
そこには、どちらかが無理をして努力している感じが、まったくなかった。
三人で笑っているのが、あまりにも自然な光景で、なんだか私は泣きそうになった。
私にとってそうではなかった、誰かにとってのあたり前は、とても尊い。
それが日常であればあるほど、ひだまりのようにあたたかい。
昼下がり、ひとときの団欒を楽しむ家族にも、遠目に眺めて心を癒やす私にも、日差しは等しく降りそそぎ、
今日のような日々が続いてゆきますようにと、空に向かって祈りたくなる。