夏になると、わが家の息子たちに、カブトムシ・クワガタムシブームが訪れる。
実物を飼育したがるのはもちろんのこと、数あるリアルなおもちゃを戦わせては遊び、
夜になると、枕元に丁寧に並べて、眠りにつくのである。
慈しむように、昆虫の背中をそっとなでる様子を見ていると、本当に好きなのだなあと思う。
私は大変に虫が苦手なので、玄関先の虫かごで、夜な夜なガサガサと音がするのは、実は嫌だ。
昆虫フィギュアをあちこちに並べるのも、できるなら御免こうむりたい。
想像してみてほしい…、朝起きたら、間近に大きな黒い個体が転がっているときの気持ちを!
だけれども、息子の情熱を尊重したくて、できる限りの努力はする。
嫌だけれども、なんとか共存している。
しかし。あまりにも不本意に、昆虫を視界に入れ続けたせいだろうか。
今朝ついに、息子たちのランドセルを見て、
「なんだか虫っぽいな…」
と思ってしまった。
兄弟そろって黒のランドセルを選んだため、つやつやと丸みを帯びた物体がふたつ並んでいると、
もはや今の私の目には、甲虫の背中のようにしか映らない。
これはいかん、と、向きを変えて置き直してみた。
背中部分と、ショルダーベルトの接続箇所の絶妙な角度が、虫の脚のつけ根にそっくりだ。
どこから見ても、虫に繋がりを見出してしまう。
どうやら、おとなしく秋の訪れを待つ以外、私にできることはなさそうである。