【noteエッセイ】サンタクロースの秘密

ついに今日、小学生の息子に打ち明けたのだ。

「お母さんは、実は、サンタ組合の組合員なんだ…」と。

「世界には、すごくお金持ちの人もいれば、今日食べるものに困っている人もいるでしょ。

だけど、世界中の子どもたちに、サンタさんが来てほしいから。

そんな思いの大人たちが、サンタ組合に入って、みんなでお金を出し合って、

できるだけたくさんの子どもたちに、プレゼントが届くようにしているんだ」

そう。

サンタの活動は、世界中のサンタ組合員に、支えられているのである。

「だから、高価すぎるプレゼントは、来ないんだよ。

ほかのお友達のぶんが、なくなっちゃうと大変だから」

本来は守秘義務のある、サンタ組合の情報なので、

決して外部に漏らさぬよう、念を押した。

息子も、サンタ組合の仕組みは、何となく理解してくれたようだ。

そこで私は、もうひとつだけ、秘密を教えてあげることにした。

「実は、しかるべき試験に合格すると、サンタになれるんだ。

サンタ協会のサンタになって、プレゼントを配れるんだよ。

でも、お母さんは受からなかった。

なぜなら、トナカイに乗れなかったから」

すると息子が、力強くうなずく。

「そりゃあそうだよ、お母さん運動できないし、夜中に起きられないもん、

お母さんはサンタにはなれないよ」

――ええ。

確かに、トナカイを乗りこなせるとは到底思えない運動神経と、

家族の誰よりも早く眠くなる体を持っている、母ではある。が。

息子よ、納得しすぎではないだろうか。

そんなわけで、協会公認のサンタにはなれなかった私だけれども。

子どもたちにプレゼントが届くようにと願いながら、

サンタ組合の一員として、今日も粛々と頑張っている。

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