益田ミリさんは、ひとつひとつの絵や文章がシンプルで、すうっと体に入ってきて。
そのあと、私の内側で、余白がじんわりと膨らんでゆく感じが、好きです。
【美しいものを見に行くツアーひとり参加(益田ミリ)】
たまたま、本当になんとなく、選んだ一冊。
#正和堂さんのブックカバー目的で購入
#表紙が二重カバーになってた!
#カバー祭り
私は、海外体験がありません。
綺麗だな、素敵だなと眺めはするものの、初海外のハードルを越えて、
「どうしてもここに行って、この目で見たい!」
という強い想いは、持ったことがない。
だけど、それはもしかしたら、
まだ体験したことがないから。
まだ知らないから。
かも、しれません。
心震えるものに出会ったとき、
何としてでも、そこに行くのかもしれない。
――と、思っていたのです。
何気なく、この本を読むまでは。
“美しいものを見ておきたい。
(中略)
「見てみたいなぁ、でも、行くことはないんだろうなぁ」
そんなふうに憧れていた場所へ、これからの10年をかけて出かけてみるのはどうだろう?”
ミリさんは、こう言います。
“ツアー旅行なら申し込めばいいだけ。”
――それ、ありだな。
って、読み始めた瞬間に、思ってしまったんですよね…!
私にとっての“海外”が、
一生に一度の決意や想いを込めて行く場所、から、
ふいと思い立って行けるかもしれない場所、に変化してきました。
ミリさんが体験したツアーが、ミリさんの文章を通して、
私の脳内にも、みずみずしく再生されます。
メインで目指した美しいものも、
思いがけず目に入る楽しいもの、美しいものも、
誇張なく、ありのままに描いてくれるのが、すごくいい。
もしも私が旅行記を書いたとしても、感動と感情が濃厚に交錯しすぎて、
ミリさんのように、読者の心に、優しく映像を置いてゆく文章は綴れません。
ツアーならではの、バスでのエピソードやトイレ事情は、
「なるほどなあ」と納得しながら、くすりと笑えるおもしろさでした。
旅先での話だけでなく、荷物の中身や、おみやげのこと、
旅の思い出の残し方なども、さりげなく描かれている、素敵さ。
「旅って、いいなあ」
素直に思える、一冊です。