空飛ぶ広報室(有川浩)

比嘉教子 ひがっち書店より、わが家にやってきた一冊です。

【空飛ぶ広報室(有川浩)】

私は、最初に登場した稲葉リカよりも、自衛隊について何も知らなかったけれど。

読んだら「自衛隊、いいな…!」と、なりました。

“厳しそう”“大変そう”という印象が先立つ、特殊な職業。

でも、その中で働いているのは、同じ人間なんだよな…って。

主人公の空井だけでなく、周りの先輩たちにも、葛藤や成長があるのがいい。

人との関わりは、相互作用なんですよね。

それぞれのストーリーが絡み合って、ひとつの物語が動いていく。

大きなうねりの中で、ひとりひとりが輝いているのが、好き。

ときにハッと心を揺さぶられながら、素直に共感できる物語です。

有川浩さんの作品は、どれも読みやすいのですが、

自衛隊ものの中でも、特に、すっと入ってくる感じがしました。

文庫で544ページ、それなりのボリュームにも関わらず、

読み続けても、情報過多にならず、流れが滞らない。

自衛隊員ではないキャラクターの、目線があるからかな。

前線ではなく、広報という立ち位置ならではのものだろうか。

最初の自衛隊三部作は、彼らの誇りや矜持に、心を揺さぶられることが多かった。

今作にあったのは、

彼らにとっての“あたり前”が、私たちにとって、どれほど尊いことなのか。

それを思い知る、感動です。

知らないことを、わくわく伝えてくれるものって、素敵な存在。

有川浩さんの小説は、読んだら自衛隊ファンになる、

まさに“広報”な作品でした!

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