私にとって「言葉にする」って、その物事に、輪郭を与えるような感じです。
【“言葉”の好きなところ】
言葉にならないものを、限界まで表現することに挑むツールが、言葉。
デッサンの線に似ているかも。
いろんな角度から、側面から、同じものを描いて、あぶり出していく。
出来事だったり、気持ちだったり、概念だったり。
私が言葉にする時点で、私のフィルターがかかった輪郭ができあがるわけです。
ほかの人が言葉にしたものは、その人のフィルターがかかった輪郭。
いろんな種類があるから、見ていてちっとも飽きない。
自分のたくさんの輪郭と、他人のたくさんの輪郭を、重ね合わせてみる。
そうしたら、ふと浮かび上がる一点がある。
これこれ! これが見たかったの!
聞きたかったの! 伝えたかったの!
の点が見える瞬間もまた、楽しい。
そこまでしても、なお、まだ「言葉にならない」部分がある。
これが最高にいい!
言葉にしたい、と足掻いてみる時間も、良い。
「言葉を尽くしても、言葉にならない」を、畏敬の念をもって味わう時間も、とても良い。
言語表現は、網のようなもので、世界を隙間なく覆うことは、決してできない。
私はそう思っていて、その“永遠に進化する不完全さ”みたいなものが、
すごくすごく好きなのです。
