私たちは、息をして、生きている。
その呼吸について、仔細に語れと言われたとき、
内臓の動きや血の流れる音を、つぶさに描写できる人は、少ないのではないかと思う。
息をすることが、あたり前すぎて。
日本橋ヨヲコさんの『G戦場ヘヴンズドア』が大好きだ。
歳を経るごとに、深みを増してゆく“好き”を、私は具体的に語ることができない。
物理的に限りある本棚の中身が、定期的に入れ替わる中で、ずっとそこにある物語。
もう、人生の一部になりすぎていて。
どうやって息をしているのかを、滔々と語ることができないように、
読んだとき、心のどこがどのように震え、うねっているのか、動きをうまく伝えられないのだ。
ただ、熱さだけは、わかる。
人体の仕組みを説明できなくても、吸い込んだ空気の冷たさや、
体内を流れる血液の温かさは、感じることができる。
『G戦場ヘヴンズドア』を読むと、熱くなる。
自分の奥底から、湧き上がる熱を感じる。
読みたくなり、書きたくなる。
ひたむきに、描いてみたくなる。
#ハッピーライティングマラソン
#本田健
