【エッセイ】推しの推しが世界を広げる。

推しの推しが書いた小説を読む。

私の知らない。推しが推している。
か細いんだか太いんだかわからない繋がりの、
向こうにいる人が書いた小説を読む。

私ひとりだったら、出会わなかったかもしれない。
推しの推しじゃなかったら、読んだかどうかはわからない。

推しの推しが書いた小説を、読み続ける。

部屋を柔らかく包んでいたはずの午後の日差しが、
気づけば夜を含んだ夕焼け色になっていた。

推しの推しが書いた小説をとおして、
私は、推しの目線をなぞっている。

好きな人が好きだというものに、手を伸ばしてみるとき。
私の目に映るのは、好きな人が見ている世界だ。

何かを分かち合えるかどうかなんて、わからない。
ただ、好きな人が見ている世界を、ちょっぴり体験してみたい。

そうして私の世界は広がってきた。
推しも、推しの推しも、そのまた推しの推しも、
いつも誰かがどこかで、ほかの誰かの世界を広げている。

それはときどき、いつしか、
最初の繋がりを超えて、誰かの生きる力になったりする。

あなたも。私も。
きっと。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする