「なりたい私」になったら、家族みんながハッピースマイル♡
三姉妹の素敵なママ・三島千明さんから、贈っていただきました。
いつもありがとうございます!
【いい音がする文章(高橋久美子)】

彼女は、私よりももっと、音の近くで言葉を認識しているひと。
文章には、その人だけのリズムがあります。
だけど、私の感じている「リズム」と、
高橋さんの感じているそれとは、似ているようで、違っている。
私は、文章を、たぶん手ざわりで感じています。
するりと喉をなでるような。ごつごつとした鉱石のような。
きらきらと降りそそぐ水のような。
文章を読むときに、頭の中で音読しません。
言葉は音ではなく、体感覚として入ってきます。
なので、歌を聴くと、最初に「歌詞がいいね」っていう感想にはならないんです。
音が、声が、気持ちいいね。になります。
歌詞の意味は、よくよくあとからついてくる。
高橋さんは、頭の中で音読しながら、文章を読むひと。
だから、最初から、音として言葉を理解しているんですよね。
言葉のリズムと文章の意味とが、一緒に耳から入っていくのじゃないかなあ。
どちらも、文章にリズムを感じているんです。
「わかる! このリズム、いいよねー!」
読んでいて、うんうん、とうなずく箇所がいっぱいあるのに。
文章を、楽器を、自分の体を使って、言葉を奏でているのに。
感覚の入り口の、私とは別の角度。
それが、とっても楽しいのです。
音楽とともにある前提ならではの、歌詞のお話がまた、興味深いところだったり。
予測変換にリズムを乗っ取られる罠のくだりとかは、あるあるで思わず笑っちゃったりします。
音の論理、音のルーツを語ったうえで、その向こうがわへ連れていってくれる本。
そして、ずっと細かなリズムが刻まれている本です。
ほかの著作をまだ読んだことがないので、この本だからこそなのか、
高橋さんの文章がそういうものなのかは、わからないのですが。
一定の曲調を保ちながら、細かく緩急をつけて、音を重ねあわせて、
「高橋久美子のビート」で語る本。
まさに、ドラムのようだと。
どこを読んでいても、底のほうに流れ続ける彼女のリズムが、
「あなたの音は?」と、問い続けてくるような。
いや…違うな。
問われているんじゃない。
ビートを鳴らして、待ってくれているんだ。
「あなたの音は?」
読者のリズムと、セッションするみたいに。
読む前と、読んだあとでは、日常の音が変わります。
私は、自分の足音や、キーボードを打つときの音、
外を歩くと耳に入る車の音、遠くの話し声、鳥の鳴き声…
いろんな音が、鮮やかに、音楽を奏でているかのようになりました。
文章だけにとどまらず、世界の聴こえかたが変わる本。
いい音がする文章は、いい音がする人生そのものです。