歩いたり、走ったりしていて、景色がきれいだなと思う。
風にちいさく揺れる、背の高いススキ。
おひさまの光が、宝石みたいにきらきら流れる川。
流れの真ん中に佇む鷺は、時が止まったように動かない。
ぱきっと色が分かれた空と海の、水平線はどこまでも続いて。
こんなとき、世界をめいっぱい感じたい。
ほんとうに世界を感じるには、立ち止まるしかない。
わたしが歩いたり走ったりしていると、自分の動きが生まれる。
きれいだなと思った世界は、静止画みたいに一瞬だけそこにあるのに、
わたしが動いていると、自分の体の感覚に気をとられて、その一瞬を逃してしまう。
わたしの動きも世界の一部だけれど、
世界もまた動き続けているのだけれど、
わたしが立ち止まったところで、わたしの体の内側では、
心臓も血液も、動き続けているのだけれど。
きれいだと思う一瞬の世界に、わたしも溶けあってみたくて、
はたから見れば、わけもなく立ち止まってみたりする。
