50歳や60歳が、もうそれほど遠くなくなりました。
子どもの頃は「60歳はおじいちゃんおばあちゃん」と思っていましたが、実両親を見ていても、いわゆる老年期とはまだ違います。
子どもの結婚や出産、親や配偶者との死別や介護など、ライフイベントとしては中年世代に近いのかもしれません。
今の社会では、プラスして「仕事の区切りを迎える」のが60歳という年齢ですね。
この本は主に、定年を迎えた団塊の世代であるシニア男性に向けて書かれています。
けれど、男性ならずとも、参考になることがたくさん。
本書のテーマである「孤独力」とは、「他人に頼りすぎず一人で人生を楽しめる人になる」こと。
「孤立」とは似て非なるもので、著者はこのように説明しています。
- 孤独力…他人に過度な期待をしたり、迷惑をかけたりせずに生きていく技術。
- 孤立…いざというときにも助けが得られず、一人だけ世間から切り離された状態にある様子。
周りの人との、適度な距離感を保つことが大切ですね。
どの年代にも必要な力です。
また、老化のサインとなる態度やしぐさについて書かれた章もありました。
中でも「これは気をつけたいなあ」と切に感じたのは、「感情の老化」です。
最初に老化し始める脳の領域は、感情のコントロールなど高次の精神活動を司っている脳の前頭葉という部分です。
つまり、加齢とともに感情のコントロールが難しくなり、些細なことに腹を立て、大声を出しがちになるわけです。(中略)
怒りという感情は人間の基本的感情のひとつで、脳の大脳辺縁系という部分で湧き上がります。
その怒りを抑制してくれるのが前頭葉ですが、困ったことに大脳辺縁系は前頭葉よりも老化しづらく、しかも素早く反応するという性質を持っています。
なので、怒りっぽくなってきたら、危険信号だというわけですね。
イライラと怒ってばかりのおばあちゃんには、絶対なりなくない!
- 早起きして朝日を浴び、セロトニンの分泌を増やす
- 抗ストレスホルモンの合成に必要な、ビタミンCを摂取する
60代に向けて、意識していきたいと思います。
名言集
各項目の終わりには、それぞれに合った名言が記されています。
例えば、「定期的に贅沢を楽しむ機会をつくる」では、
若い生活をしている者は若い。
老いた生活をしている者は老いている。
井上靖
というふうに。
心に残ったものを、メモしておきます。
人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない。
キルケゴール
諦めは日常的な自殺である。
バルザック
人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。
チャップリン
老いをこちらから迎えに行くぐらいの気持ちで。
60歳が楽しみです!