高校演劇が好きな人なら、思わず手に取ってしまう表紙!
全国大会出場校の、演劇に向き合う姿。
コロナ禍で演劇の「あたり前」がなくなった中、映像での大会に挑んだ高校生たち。
高校演劇の持つ熱量が見えて、自分の中にも情熱が甦る1冊です。
高校演劇の思い出
私は高校3年間、演劇部でした。
消極的で人見知りだった自分を変えたくて、役者志望で入部。
先輩たちも優しく、顧問の先生も気さくで、和気あいあいとした雰囲気の部でした。
初めて人前で演じたときのことは、今でも鮮明に覚えています。
公開のステージではなく、入部してすぐに行われる、県内の演劇部の合同合宿が初舞台。
グループに分かれて、指定された短編脚本を1本の劇に仕上げ、最終日に発表するスタイルです。
それまでは、部内でエチュードなどをやらせてもらうことはあったものの、自分の意志で役者として人前に立つのは、本当に初めてでした。
ほんの二言、三言の出番が来るまでの、味わったことのない果てしない緊張感と。
体を動かしながら台詞を口に出したときの、かつてない高揚感と。
終わった瞬間に、「もっとやれたはず。もっとやりたい」と心から熱望して、私の高校演劇生活が始まりました。
私自身は、決して演技が上手かったわけでも、裏方や脚本作りに秀でた力があるわけでもなかったけれど。
周りの人や環境に恵まれて、2年連続で中部ブロック大会まで行くことができたことや、いろんな舞台に立たせてもらったことは、今でも光り輝く記憶のひとつです。
――私は、演劇を、演劇以外の目的で使ったこともある、その程度の部員でした。
だからこそ、今考えればもっとやれたのではないかという気持ちもあるし、この本に載っているような高校生たちにはまったく敵わない。
でも、高校演劇が大好きでした。
部室も舞台も、日常も本番も、全部含めた「高校演劇」という空間が、とてもとても好きでした。
この本を読んで、その気持ちを思い出しました。
同じ時代に、高校演劇と向き合っていた生徒だった人たちが、顧問になっている年代なんだなあ…というのも、感慨深いです。
観に行きたいな。高校演劇。