今日は、ちょっぴり背筋が凍った、怖い話をしますね。
【根をはる木でなく、流れる川のように】
私は地方の田舎町で、いわゆる長男の嫁になりました。
顔が広いのか、キャラクターが強いのか、義家族は巷では有名らしいのですが、
代々続く名家などではないですし、気楽なものです。
土地柄としても、そこまで閉鎖的ではない。
ひと昔前の強固な価値観に困るときはあるものの、むやみに衝突することはせず、
子どもたちの健やかな成長を守りつつ、暮らし続けて10年以上が過ぎました。
それでですね、この間、
一世代上の、顔見知りの方に、こう言われたんです。
「あなた、お姑さんによく仕えていて、本当に偉いわね」
って。
心からの労いの笑顔とともに。
いつも気遣ってくださる、良い方です。
ほめてくださっているのも、悪気がないのも、よくわかる。
それは十分に理解した上で、けれども私は、
“嫁は舅や姑に仕えるもの”という価値観に、
そこに微塵も疑いを持たない暮らしがあることに、背筋が寒くなったのです。
もちろん旦那さんや、周りの同世代のお友達は、そんなふうには思ってはいません。
だから、私も平和に過ごしていたのですが…。
「ああ、嫁は嫁ぎ先に仕えるという価値観が、まだ生きている土地に、私は暮らしているんだな」
という実感は、衝撃的なものでした。
もしかしたら私も、いつか価値観に根を生やして、疑うことを忘れてしまうのかもしれない。
そう考えたら、さらにちょっぴり、背筋が凍りましたね。
#自覚できなくなるのが怖い
家や土地に根ざして生きるのも、素晴らしいと思います。
#そこで守られるものもある
頑なな人も、柔軟に受け入れる人も、この町に限らず、どこにでもいる。
ただ、私自身は、ここで生きていくならば、
どっしりと根を張る木々ではなく、流れる川のように生きたいなあ。
と思ったのでした。