なりたい私へ、軽やかに走り続ける。
素敵な三姉妹のママ・三島千明さんから、贈っていただきました。
【好きな食べ物がみつからない(古賀及子)】

”「好きな食べ物」がみつからない。
いや、好きな食べ物はいくらでもあるんだ。”
そんな語り出しで始まる、この本。
著者の古賀さんが、みつからないまま長らく過ごしてきたのは、
”「あなたの好きな食べ物は何ですか?」
と、誰かに聞かれたときのアンサーだ。”
私は、何と答えるだろう?
考えてみたときに、その問いの深さに、愕然としました。
「何を食べようか相談しているときなら、これだし」
「よく食べるものなら、これか…」
「最後の食事にしたいほどの好きだったら、あれか…」
「そもそも、ごはんかおやつか」
む…むずかしい。
たったひとつの「好きな食べ物」でもって、自分を語るのは、むずかしすぎる。
かくて、古賀さんと同じ沼に迷い込んだ私は、
好きな食べ物を探す、彼女の旅路に同行するのでした。
これがもう、最高なのです。
古賀さんが食べ物を語る、むぎゅうと中身の詰まった描写。
おいしさを見つめる、滑らかに繊細に流れ込んでくる心情。
目の前の結論に飛びつかず、答えを探り続ける粘り強さ。
もはや「好きな食べ物」の域を超えて、
自分自身と対話し、私という人間を社会の中でどう定義するか。
そんなひとつの哲学が誕生したように思います。
頭の中で考えているだけじゃなくて、実際に行動しているのが、また素敵で楽しい。
アボカドのために高級スーパーの紀ノ国屋に行き、おはぎのために仙台を訪れ、
チーズケーキや中華の名店に赴き、築地では人の多さに慄き、
フードコートやレストラン街、デパ地下や成城石井で、さらなる衝撃を発掘し…。
一緒になって、めくるめく食べ物たちが心を埋め尽くし、
口の中に味わいと食感を再現する、とってもお腹がすく本、でもあります。
果たして「好きな食べ物は何ですか?」と聞かれたとき、
古賀さんがたどりついた答えは、何だったのか。
ぜひ、その目で確かめてほしいです!
ちなみに、古賀及子さんは、こちらの本を読んで、
「このひとの感性、文章、好きだなあ!」と思ったエッセイストさん。
*10代からの文章レッスン*
ほかの著書も、ぜひ読んでみたいと思います。