十二国記の、最新刊が出ました!
絶対に、途中でやめたら続きが気になって仕方ないと思ったので、4巻すべて手元に揃えてから読みました。
「シリーズとしては6年ぶり、長編としては実に18年ぶり」と、解説に書かれていましたが…もうそんなに経つのかなあ。
けれども確かに、物語や人々の機微を、以前より感じられます。
私が生きて、人生経験を積んだ分、深みが理解できるようになったのかもしれません。
泰麒の成長に、戴の中でも長く時間が流れたことを実感し、その末に迎えた最終巻での感慨は、物語の人々と同じようなものです。
本当に久しぶりの、長編読破。
頭や首が痛くなるほど、真剣に入り込みました。
重厚な世界ゆえに、本を閉じてもなかなか抜け出せなくて、数日間、子どもたちに虚ろな返事ばかりしてしまっていたことは…申し訳ない。
それぐらい浸りきって、楽しかったんです。
読んでいる間は、本を閉じても、世界が違って見えました。
いつも見ている雲の向こうに、霧立つ山の向こうに、別の世界があるような。
私の日常ではなく、十二国記と同じような、もっと自然に近しい異世界が。
すべて読み終えた後は、意識はちゃんと、今まで通りの世界に戻ってきましたが。
――昔読んだときは、こんな境界線のようなものは、感じなかった。
読みかけだろうとそうでなかろうと、本を閉じても自分の世界に戻ってこられたし、異世界だと感じたような風景も、物語に関係なく、あたり前にそこにありました。
物語の内も外も、境界なく「私の世界」だったはずです。
空想に遊びながら生きる余裕がないほど、私の暮らしは、悪い意味で現実的になっていたのだろうか…。
圧倒的な物語を丹念に味わった後、その事実を物悲しく思いました。