学校では教えてくれない 自分を休ませる方法(井上祐紀)

我が子たちを、どこまで休ませ、どこまで背中を押すか。

昔よりは見極められるようにはなったものの、マニュアルがあるわけではないので、手探りには変わりありません。

学校には行きづらいけれど、繋がりを断ちたくはない状況なので、帯に書かれていた、

「自分を休ませること」と「学校を休むこと」は、イコールではありません。

ストレスがかかりすぎていない状態なら、学校に通いながら体も心もしっかり休ませることができます。

反対に、学校生活以外にもストレスの原因がある場合は、学校を休んでもぜんぜん休めていない……ということもあるんです。

という言葉に惹かれました。

苦しみながらも、「学校が好きなんだ」「どうやったら楽に行けるのかなあ」と口にする子どもたちを、どんなふうに見守っていくかは、ずっと私の課題でもあります。

本書では、

  • 本来の「休む」とは、休息をとってリフレッシュすること。
  • 自分を休ませるためには、「休みたいタイミングで休む」ことが大切。
  • 「不登校」ではなく「自主休校」。

と提唱し、まずはつらさを感じたときに、自分を助けるための3つのステップを述べています。

  1. 整理する…①起こった(できごと)、②感じた(感情・感覚・思考)、③どうなった(変化したこと)
  2. つながる…安全な相談者①結論を押しつけない、②あなたの気持ちを否定しない、③自分よりあなたに多く話させてくれる
  3. 対処する…もともとの自分(まあまあ悪くない気分)に近づける

これは、サポートする側としても、自身がつらさを感じたときにも使える、いい方法だなと思いました。

解説のあと、約20個の悩み事例が紹介されていて、この3ステップをどんなふうに実行していくのかも、わかりやすく語られています。

そのひとつにあった「親と一緒にいるとイライラする」という悩みのところに、このような一節がありました。

こうしたイライラには、おもにふたつの理由があります。

ひとつめが、10代の子どもと親がずっと一緒にいるのは不自然であること。

10代は、親以外とのコミュニケーションが増えていく時期。親以外とのつながりは、成長に欠かせないものでもあります。

そのため、そもそも10代の心や体は、親と長時間過ごすようにはデザインされていないのです。本来の機能にはないことをしているため、イライラ、ムズムズしてくるわけです。

ふたつめが、今の時期の皆さんには「ひとりの時間」が必要であること。

他人からのインプットをオフにできる時間がなければ、本当に自分を休ませることができないからです。

家族とどんなに仲が良くても、ひとりになれる時間は欠かせません。

親と子、両方の立場から、深くうなずける内容でした。

学校へ行けないつらさを抱える子どもに向けて書かれてはいますが、悩める大人にも支援者にも活かせます。

そして最終章には、見守る大人たちへのアドバイスが。

私も肝に銘じたいこと、今のやり方を見直したいことがたくさんあったので、覚え書きしておきます。

大人から子どもへの「3つの期待」

  1. 休まずがんばること
  2. 文句を言わずにがんばること
  3. ひとりでがんばること

親が無意識に子どもに期待していることであり、子どもにとっては、思っている以上に負担が大きいものなのだそう。

だからこそ、子どもにモヤッとしたとき、葛藤が生じたときは、

親の役割は、子どもの安全と健康を守ること

という原則に立ち返り、子どもと接すると、関わりが快適になります。

心や体の状態の4段階

自分を休ませている時期に「できること」は、心や体の状態によって違うので、見守る側も、正しく理解したいと思います。

  1. 身の回りの安全を確保する段階…目的:安全を感じること。手段:安全な場所で過ごす。安全な場所で過ごすのを親も認める。
  2. 睡眠や食事のバランスをとる段階…目的:食事、睡眠のバランスをとって体調を整える。手段:本人が決めた食事の時刻や、起床・就寝時刻を守ることを目指す。
  3. 好きなことならできる段階…目的:日々、楽しみを感じること。手段:自分が「好きなこと」をする。
  4. 未来に向かって動き始める段階…目的:近い未来の希望をかなえる。手段:希望の実現に役立つことをする。

これは、1段階ずつしか上がることができないもので、子どもの「今」に合う生活をすることが、ステップアップにつながるのだそうです。

わが子は第3段階か第4段階か…といったところ。

第3段階の解説文の中に、

大人には、学校を休んで好きなことだけしているのは単なるわがままのように見えてしまうかもしれません。

でも、勉強をさせようとするのはまだ早いのです。

学校に行けないほど追いつめられている状態から抜け出すためには、「楽しめるようになる」段階が絶対に必要。

今、目指すべきなのは、好きなことをして心地よさを感じ、活発さをとり戻すことなのです。

とあり、休んでいるときの過ごし方を考えさせられました。

我が家では今、学校に行かないときは、

  • 生活リズムは崩さない
  • 本来、学校で過ごしている時間帯はノーメディア
  • 家で勉強しなくてもいいけれど、手伝いはする
  • 家の用事もあるので、過ごし方はお母さんの予定に合わせる
  • それらがどうしても不調で無理なときは、申し出る

という約束になっています。

日によって対応が変わると、子どもも混乱するし不信感が増すだろうと考えての、ルール設定ですが。

もう少し、柔軟でもいいのかもしれません。

「学校を休むのは楽なことではない」のだから。

日々のコミュニケーション

【子どもの攻撃的な態度は「かなわなかった希望」の表れかもしれません】

子どもが本当は何を伝えようとしているのか、が大事です。

「本当はどうしてほしかったの?」と、気持ちを言語化する手助けをしてあげるとよい。

【「なぜ」休みたいかを聞きすぎない】

子どもが自分から話さない場合は、特に。

「なぜ」は、質問の形を借りながら相手を強く批判する攻撃的なパワーワードです。

そのため、「なぜ」と聞かれることを負担に感じることを負担に感じる子どもが少なくありません。

  • 子どもが自分から話せるように、焦らずに待つ
  • 子どもが話してくれそうな気配を感じたときは、「秒」で反応する

これを心がけて!

響くものがさまざまあり、今日からさっそく行動に移したい、盛りだくさんの実用書でした。

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