以前もちらりと思ったのですが、おじいさんと青年の取り合わせ、私は好きみたいです。
田舎の嫁姑の力関係に悩まされる身としては、「対等に成り立つ異世代交流」に惹かれるのかもしれません。
体力や経験などの差は、もちろんどこにでもあるけれど、その違いを尊重して異世代コミュニケーションができるのは、素晴らしいなと思うんです。
帯の言葉、
人は、何歳からだって「動ける」。
どこで生きるかじゃない、
誰とつるんで生きるかだ。
これも素敵で、本を選ぶ大きな決め手になりました。
で、読んでみたら、あったかくて優しいし、その中にハラハラドキドキもあるし、おもしろかったです!
75歳・継男の方が、22歳・海平よりも、物語の進みを速く感じるのは意外でしたし。
継男と海平の章が、ところどころ対照になっているのは楽しくて、ついニヤニヤしてしまいます。
継男が海平にかけた、
「お前は地獄になんていないよ」
「石ころにつまずいて転んだ。その程度だろ」
「せいぜい、石が大きくて転び方も派手になったというぐらいだ。二十二歳ならそれで死にはしない。おれの歳だと、転んで死ぬこともあるけどな」
こういう言葉は説得力があって、40代の私にも「まだまだやれる」「頑張ろう」と思わせてくれます。
継男が「七十五歳になった。先は短い。」から、「七十五歳になった。先は長い。」になり。
海平が「二十二歳になった。先は長い。」から、「二十二歳になった。先は短い。」になる。
どちらも、動いたからこそ変わってゆく物語。
私も動こう! って、元気をもらいました。