エレジーは流れない(三浦しをん)

図書館で、三浦しをんさんの棚を眺めていたら、

お友達の投稿で見た本がある! と、思わず手にとった1冊。

【エレジーは流れない(三浦しをん)】

先に読んだ2作品とは、また違った印象でした。

いかにも「日常」なのですが、不思議な雰囲気で。

“ほのぼの”でも、“まったり”でも、“淡々と”…でもない。

かといって、単なる“どきどき”でも、“わくわく”でもない。

例えるなら、『ズッコケ三人組』を、ぐいっと思春期の日常に寄せたみたいな、

恋もスリルも、謎もきらめきも、激情も焦燥も、いろいろ詰まっていて、

でも総じて「地球の尺度で見た、人間の歴史」の小ささで、

なんとなく穏やかに、ゆるやかに、流れていく時間の川面を眺めている感覚でした。

人間の芸術的な輝きを、星座の点のように打ち込むのとは、また視点が違うのかなあ。

砂粒みたいな、限りなく小さな一点を削り出して描くことも、

どこまでも広がる一面の海に漂う混沌を、はるか高みから描くことも、

どちらもできる作家さんなんだな、すごいなあって思いました。

作家さんによって、どれを読んでも「ああ、○○さんだなあ」と感じ入る方と、

「こんな一面もあるんだなあ」って、新鮮な興味をくださる方と、いらっしゃるけれども。

甲乙つけがたい魅力がありますねー!!

#今回は後者だった

#でももっと読み込めば

#三浦しをんさんの空気がわかるのかもしれない

で、タイトルにもなっている「エレジー」ですが。

いや、そこで出てくるんかい!

しかも「流れない」って、思ってたんと違った!

…ので、笑うポイントじゃないのに、笑ってしまったのでした。

#悲しみの歌は

#流れ去らずに胸にとどまる

#そんな想像をしてた

#文字どおりの流れないだった

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