私はどうやら「わかりやすいもの」が好きらしい。
心惹かれるものは、たいていシンプルに、わかりやすく表現されたものだ。
難解な言葉が連なる本よりも、余白がたっぷりとられた物語を、そっとめくるのが好きで。
小さなたくさんの雑貨に囲まれる暮らしより、断捨離やシンプルライフに夢中になり。
何を考えているのかわからない人より、まっすぐに気持ちを向けてくれる人のほうが、接しやすい。
以前に“才能プロファイリング”というセッションを受けたときにも、
自分の核となるコンセプトに「わかりやすさ」が出てきた。
わかりにくいものは、私にとっては恐怖の対象なのだそうだ。
自身はややこしい人間であるのに、わかりにくいものが嫌いで、
だから、わかりやすいものに惹かれるのだ、と。
単純なのがいいのではない。
「難しいことを、やさしく、わかりやすく」混沌の中から、すくい上げてくれるような、
結果としてシンプルな形になったものが、好きなのだ。
十代の頃、やなせたかしさんが作り出す世界観に、とっぷりと浸かったことが、
この「わかりやすいものが好き」の原点になっていると思う。
抒情にあふれた、やさしい世界が大好きだった。
私にとって「わかりやすさ」とは、「やさしさ」のひとつの形なのである。